HIDとはHigh Intensity Dischargeの略で、特殊なガスを密封したバーナーに高電圧放電することで発光させるヘッドライトシステムです。
通常自動車のヘッドライトに使用されるハロゲンランプは白熱電球と同じようにフィラメントへの通電によって点灯するのに対し、 HIDバーナー(バルブ)には蛍光灯と同じようにフィラメントが無く、キセノンガスを封入したバーナー(バルブ)内の電極間の放電で点灯する仕組みです。発光原理が、従来のハロゲンランプは熱による発光であるのに対してHIDは放電発光となり、全く新しい方式の自動車用ヘッドライトシステムになります。
HIDランプを用いたヘッドライトは従来型バルブに比べて明るい上に、エネルギー効率が良いため消費電力も発熱も少なく、フィラメントを使わないおかげで消耗や断線の心配も無いので長寿命なのも特徴です。
HIDヘッドライトシステムは、「バーナー」、「バラスト」、「ハーネス」で構成されています。
HIDの「バルブ」はそれ自体が発光体で、「バーナー」と呼ばれることもあります。ガラス管の中に密封された特殊なガス中で放電させると発光します。この時に放たれた光の明るさや色は、「色温度(ケルビン数)」で表されます。
「バラスト」とは、イグナイター(昇圧装置)やインバーターなどで構成される安定器です。HIDのバルブを点灯させるために必要なパーツです。
「ハーネス」とは、接続ケーブルを束にしたものを指します。また「リレーハーネス」とは、リレー(継電器)とハーネスが一体になったもので、電圧安定、ちらつきやノイズの抑制などの目的に使用されます。本来の回路をON/OFFスイッチの感知だけに限定し、ヘッドライトへ流れる電流はバッテリーから直接取り出すことで電流を制限しています。
「ケルビン数が高い」=「明るい」ではありません!
HIDのケルビン数は、色温度を表し、単位はK(ケルビン)が用いられます。ケルビン数の低いものは暗いオレンジがかった色であり、数値が高くなるにしたがって黄色みをおびてきます。さらに数値が高くなると、白から青みがかった色へとなります。朝日や夕日の色温度は約2000K、日中の太陽光線は5000~6000K程度です。
物体を照らす光は大気の青色が色味を中和しているため、実際には 6500Kよりも高い色温度のほうが白く感じられます。そのため、よりケルビン数の高いものが好まれる傾向にありますが、7000Kを超えるあたりから青みがかり、明るさは落ちていきます。つまり、『ケルビン数が高いほど明るい』というわけではないのです。